リメンバーズ生物科学会 活動報告

本記事はリメンバーズ Advent Calender 2023の参加記事となります。

adventar.org

 

第二回シンポジウム 議事録

テーマ 「バイオエコノミーと生物科学」

「リステ曲に登場する花を同定しよう」

 

 

 こんにちは。リメンバーズ生物科学会です。

 当学会は、生物(とくに植物)を専門分野とする5人のメンバーが所属し、日夜様々な議論を繰り広げ、お互いの知識を高めあっています。

 

 

 さて、早速本題ですが、今回取り上げる第二回シンポジウムでは、Stellamaris・式宮碧音のソロ曲である

 

「DESERT BLACK FLOWER」

 

 この”砂漠に咲く一輪の花”のモデルはいったいなんであるのかについて議論しました。

 

 ★ぜひ実際に聴きながら、もしくは歌詞を思い浮かべながら、お読みください

 

議題・仮説


DESERT BLACK FLOWER
=ブラックアイリス?

 

 

〈DESERT BLACK FLOWERとは〉

 

 式宮碧音のソロ曲。

 

参照:[理想への改革]式宮碧音 (以下、軽くキャラストーリーのネタバレ)

自分のことを誰も知らない、そんな砂漠のような世界があったとしても、そこでも花を咲かせてみせる、という、彼女の強い意思を込めた楽曲となっている。

 

 

ブラックアイリスとは

ブラックアイリス(2019.3.31撮影)



・ブラックアイリス(Black Iris,Iris nigricans)

アヤメ科アヤメ属の多年草

 

イスラエルサウジアラビアと隣接している西アジアの国・ヨルダンの国花。

 2014年、静岡県浜松市で行われた浜名湖花博10周年の記念に、駐日ヨルダン大使夫人から球根が贈られたあと、はままつフラワーパークの温室内で大切に育てられている。

 

 

仮説検証などのあれこれ

 

・自生地であるヨルダンはDESERT=砂漠地帯である。

 

一輪花である。

 草花の花の付き方はおもに、大きく分けて2種類存在する。一本の茎の先に一輪の大きな花を咲かせるものと、枝分かれした茎の先に前者よりも比較的小ぶりな多数の花を咲かせるものだ。ブラックアイリスを含むアイリス、アヤメ、ハナショウブカキツバタなどの仲間は多くが前者にあたる。


 現地でも、自生地が限られていてとても珍しく、持ち出しの禁じられた花。遠く離れた異国の地から渡ってきて、文献がなく管理の方法もわからない中、まったく気候の違う場所での栽培。

 きっと担当されたガーデナーさんを始めとする、たくさんの人の願いや想いを受けて咲いたことと思う。すばらしいことである。

 

・ひとつの花は、長くは持たない。

 フラワーパークのガーデナーさんのブログによれば、花持ちは3日程だそう。花持ちとは、満開になってから萎れ始めるまでのことを指す。世の中には、たとえばアサガオオシロイバナなど、開いてから1日以内に萎れてしまう一日花も多く存在するが、それでもアヤメの仲間の、3日という期間は、全体を見れば短い方であるのではと思う。

 それぞれの種や性質、季節や管理方法などにも左右されるが、参考までに、一般的に切り花にした生花(たとえばバラやカーネーションなど)の花持ちは1週間~10日程度とお伝えすることが多い。


 しかし、そう、永遠じゃなくたっていいのだ。たとえば桜の散り際や、目まぐるしく移ろう季節の変化。これらを楽しむように、日本には、終わっていくことをも美とする文化がある。


・園芸種以外で黒い花の咲く植物がほぼない。

 たとえば、”砂漠のバラ”とも呼ばれ、乾燥地帯で育つAdenium Obesum(アデニウム・オベスム)という植物に、黒紫色の花の咲く種があるが、こちらは成長すれば多数の花が同時に開くうえ、おそらく園芸種であると推測。(日本では流通がほとんどないようで、調べても外国語のサイトが大半だったため、詳しくは割愛する)

 

 また、冬~春の庭を彩ってくれる定番の鉢花として名高いビオラにも、ソルベ ブラックデライトという黒紫色の品種(画像参照)が存在するが、これも言うまでもなく、品種改良された園芸種である。

ビオラ ソルベ ‘ブラックデライト’(2022.12.8撮影)

 

・アヤメやハナショウブの仲間は、一番花の花後、しばらくすると同じ場所からもうひとつ蕾が伸びてきて、二番花が咲く。(※ヒオウギやシャガなど、何輪かの花が連なって次々に咲く種もある) 

なんかリステっぽい!!

 

 構造的には咲きそうだが、フラワーパークのスタッフブログなどを見た感じでは咲いていなさそう。咲いて欲しい。

 

・2番では黒い蝶について歌われている。花をよく見てみると、ふわり、ひらりとしたボリュームのある柔らかい花弁、温室の窓から差し込む光に反射するやわらかな光沢をもつ。まさに蝶といえるのではないだろうか。

 

 これが、中学生らしい可愛らしさと少しの幼さを残しつつも、強く優しい眼差しを抱いて凛とステージに立つ姿が観客を魅了する、トップアイドル・式宮碧音の魅力に通じるのである。

 

 

結論


・DESERT BLACK FLOWERはブラックアイリスであると思われる。

 

 

編集後記


 ここまで読んでくださって、ありがとうございます。花車です。

 

 だいたい1年前、4thライブ直後くらいに開催した、第二回リメンバーズ生物科学会シンポジウム。実際の議事録を改めて編集し、画像などを加えて、今回ようやくこうして皆様に公開する運びとなりました。

 

 今回この記事の執筆にあたり、改めて曲を聴いたり歌詞を見たりしましたが、こういうのをやると解像度が上がっていいですね。

碧音お姉さまカッケェ~!(小学生の感想)

 

 聴く時にも歌う時にも、ほんのり思い出していただければ幸いです。記事内に登場するお花が気になった方はぜひ調べてみてくださいね!(わからないことがありましたら、リメンバーズ生物科学会植物分類学担当の花車まで、お問い合わせください。)

 

 写真は私が高校生の頃、当時使っていたお下がりの古いデジカメで撮ったものしかなく、少々見づらくなってしまいました…すみません…

 

 第二回開催当時、私は当学会に所属したばかりで、植物分類学を独学でかじった程度の私などが役に立てることがあるのだろうかと考えていました。

 しかし、学会長のえせりさんをはじめ、葦さん、くしかつさんにも温かいお言葉をいただき、メンバーそれぞれの専門分野から様々な知識を補いながら、活動を続けることができています。メンバーの皆さんには本当に感謝しています。

 また、新たに紫陽花さんも加わり、次の活動に向けて期待の膨らむ思いです。

 

 

 さて、今年5月におこなわれた第三回シンポジウムの報告を。当日は、実地演習として静岡県西部にある「はままつフラワーパーク」を訪問しました。

はままつフラワーパーク【公式サイト】~世界の花のテーマパーク~

 

 自身の花卉生産・販売の経験と、植物分類学の観点からそれぞれの植物について解説させていただいたり、花の色を決める色素のお話や、それぞれの品種をその姿たらしめる遺伝子のお話を聞かせていただいたりし、実物を外からだけでなく内からも深く観察することで新たな知見を得ることができました。

 

 第二回で議題となったブラックアイリスは残念ながら花期を過ぎており鑑賞することができませんでしたが、それでも十分に有意義な時間を過ごすことができたのではないかと思います。

 

 全力で堅苦しく書いてしまいましたが、普段はもっと、ほわ~っとした雰囲気でやらせていただいています。本当です。

 

 これからも、リステを生物科学の観点から紐解いていきたいと思います。いい感じに見守っていただけますと幸いです。

 

 お読みいただき、ありがとうございました!!

 

花車✿

https://x.com/misaki__illust?s=21&t=SHw3yHOU99vrelcYv1E3Sw

 

学会長・えせりさんより


・緋村那岐咲さんは可愛い
・ケモ耳最高!!

 

※Unofficial

参考:ブラックアイリス | Iris nigricans | かぎけん花図鑑

ブラックアイリス|スタッフブログ|はままつフラワーパーク【公式サイト】

↑ 毎年、花の時期になるとこんな風にお知らせしてくださいます。このほかにも、広い園内には、様々な品種の桜、バラ、チューリップ、藤など、たくさんの種類の花が一年を通して咲き誇ります。

 来年春には、はままつフラワーパーク浜名湖ガーデンパークを会場に、浜名湖花博2024が開催されます。この機会にぜひ足を運んでみてくださいね!

【公式サイト】浜名湖花博2024 - 人・自然・テクノロジーの架け橋~レイクハマナデジタル田園都市~